デュタステリド(ザガーロ)は、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変換する5-α還元酵素のI型,II型のタイプに効き、両者に対してより強力な抑制剤です。
フィナステリド(プロペシア)はⅡ型のみだけしか抑制できないため、薄毛、ハゲのタイプによって限界がある場合があります。
そのため、フィナステリド(プロペシア)で治療効果が不十分だった症例にもデュタステリド(ザガーロ)が有効なこともあるのです。日本国内でもデュタステリド(ザガーロ)が市販されたため、薄毛、ハゲ治療内服薬の選択肢が増えました。
男性型脱毛症に対するデュタステリド内服の効果性に関して,いくつかの比較試験が実施されています。女性型脱毛症に対するデュタステリドの臨床試験は実施されていません。
1.男性被験者4,950名を対象に6~60カ月の治療期間の比較試験
頭髪写真評価で毛量増加を示した被験者の比率を比較したところ,デュタステリド0.5 mg/日内服群はプラセボ群に対して優れた効果を示した。
2.男性被験者917名を対象とした6カ月治療期間の比較試験
この比較試験は、日本を含めた国際的臨床試験で症例数が最も多い。デュタステリド0.5 mg/日とフィナステリド 1 mg/日を用いてる。
全毛髪数と毛直径の増加についてはデュタステリドの方が優れた効果を示したが,直径60 μm以上の硬毛数では両者間に有意な差がなかった。
また、頭頂部および前頭部の写真評価では、著明悪化-3から著明改善+3 の7ポイント上昇,治験担当者のスコアリングでは両群間に有意な差はなかったが,3名のエキスパートパネルによる評価ではデュタステリドの方が優れた効果を示した。
しかし,その点数差は頭頂部では0.14,前頭部では0.24とわずかなものであった。したがって,両者の効果の差については今後さらなる検討を要する。
3.男性被験者120名を対象とした52週間の治療期間の調査
日本国内で実施されたデュタステリド0.5 mg/日を用いた。直径30 μm以上の非軟毛数、硬毛数、非軟毛直径が52週に各々13.5/cm2、15.2/cm2,6.5 nm増加した。
皮膚科医のパネル3名による頭頂の写真評価(7ポイントスコアリング)では、26週に1.34,52週に1.50といずれもベースラインより有意に毛量が増加した。しかし、26週から52週にかけて有意な改善があったかどうかは統計学的には明らかでない。
(男性型脱毛症・女性型脱毛症診療ガイドライン2017より抜粋)
☞フィナステリド(プロペシア)の副作用