毛髪の再生医療において重要課題の1つとなっているのは、いかに毛包原基hair follicle germ (HFG)を簡単にかつ大量に作製するかであった。これが克服する技術の確立が今回の研究の目標である。
薄毛・ハゲとマック(マクドナルド)のポテトと何の関係がある?
毛包の形成には、毛包原基が必要である。毛包原基は、毛包(毛を産生する器官。毛包のうち、皮膚表面から見ることのできる部分は一般に毛穴と呼ばれている)の発達を促す細胞であり、薄毛・ハゲ治療の研究に必要不可欠であるとされている。
この研究では、全く新しい方法で、毛包原基(HFG)の大量作製を可能にした。マウスの毛の再生を試みた横浜国立大学の研究チームは、「ジメチルポリシロキサン」という毛包原基を大量培養するために、培養器の底に使う基材を酸素透過性の高いポリジメチルシロキサンを使うことで、大量培養を可能にした。以前からの課題は細胞の低酸素障害であった。
予備的実験によると、この方法は、人間の皮膚細胞に用いた場合でも成功する可能性が高いという。研究チームはこのやり方で、5000の毛包原基を一度に作製した。この毛包原基をヌードマウス(毛のないマウス)に移植したところ、有効な毛包となって毛穴を作れることができた。
その数日後には、チップを移植したマウスの背中に黒い毛が生えた。この技術はシンプルで効果的な方法であり、毛髪の再生医療を進歩させ、男性ホルモン依存の薄毛・ハゲ治療に役立つかもしれない。
今回の研究で大量に細胞を可能にしたのは、ポリジメチルシロキサンでした。これはマクドナルドがフライドポテトを揚げる際に、油が泡立つのを防ぐために加える化学物質だそうです。
このポリジメチルシロキサンを使用したことが今回の成果を決定づけたようです。もちろん、マックのポテトを頭髪に擦りこんでも、育毛にはなりません・・・。
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☞今回の医学論文
Spontaneous hair follicle germ (HFG) formation in vitro, enabling the large-scale production of HFGs for regenerative medicine
Biomaterials 154 (2018) 291e300