従来の育毛剤は,栄養補給剤,血管拡張剤,ホルモン剤,抗炎症剤,殺菌剤,その他天然物等をいろいろと組み合わせて配合されています。
栄養補給剤は,毛母細胞に充分な栄養分を供給し,代謝を活性化させることを目的に配合された成分であり,パントテン酸等のビタミン類や各種アミノ酸類が用いられています。
血管拡張剤は,毛包の血管を拡張して血流量を増加させ,栄養分の供給を活発にさせることを目的に配合 され る成分であ り,酢酸トコフェロール, 塩化カルプロニウム,センブリエキスの他,トウガラシチンキ等の刺激剤も用いられています。
ホルモン剤は,男性ホルモンの作用を緩和することを目的に配合される成分であり、エチニルエストラジオールなどの女性ホルモンが用いられているが、その配合量は副作用を来すこともあるので、極微量しか使われていません。
抗炎症剤・殺菌剤は、頭皮の状態を改善し,清潔に保つことを目的に配合される成分です。
従来の有効成分の育毛剤には、上述の観点からいろいろな成分が配合されているが、毛の成長 メカニズムや男性型脱毛症の発症メカニズムにはまだわからない点が多く、これらの成分が本当に効くのかわからないため、客観的評価が低いのが現状でしょう。
最近の新しい傾向としては、皮脂抑制成分が研究されています。男性型脱毛症の人は頭皮皮脂分泌量が多いと言われており、過剰な皮脂が男性型脱毛症の原因の一つであるという考え方もあります。一方、過剰皮脂が原因なのか結果なのかは過去の医学論文からは薄毛・脱毛と皮脂とは関係がないという報告もあります。
☞薄毛と皮脂の関係
新しい保湿成分の開発も行われていますが、頭皮の保湿と毛の成長や男性型脱毛症との関係もあまり明確ではありません。
一方、男性ホルモンの作用を抑制する抗男性ホルモン剤や活性型男性ホルモン(ビヒドロテストステロン)を生成する酵素(5α-リダクターゼ)の阻害剤も現在では販売されています。
☞フェナステリド
☞ザガーロ
男性ホルモンが男性型脱毛症に深く関与していることは間違いないので、男性ホルモン作用を抑える有望な有効成分が、副作用の問題が生じます。 いかに局所的に,すなわち毛包に特異的に作用する成分を見いだすかが大きな課題でしょう。