自由診療であれば薄毛、ハゲ治療AGA目的にザガーロの代わりにアボルブを使用してよいのですが、薄毛、ハゲ(脱毛症)目的にアボルブを内服し、何かしら身体に異常(副作用)が起きたとき、医薬品副作用被害救済制度は適用されるのでしょうか?
ザガーロの代わりにアボルブを使用
ザガーロは,「男性における男性型脱毛症」(AGA)を効能・効果として製造販売が2015年9月承認されました。
同日,厚生労働省から,ザガーロと有効成分が同一であるアボルブに関しては、アボルブの効能・効果は「前立腺肥大症」であり、ザガーロの効能・効果である薄毛、ハゲ治療AGA目的で処方した場合には,保険給付の対象としないとの通知が出ています。
アボルブの添付文書にも,2015年10月改訂で「保険給付上の注意」が新設され,薄毛治療AGA目的で処方された場合には保険給付の対象としないことが明記されました。
上記通知は,アボルブを薄毛、ハゲ治療AGA目的で使用した場合には、保険給付されないというだけで、自由診療での使用の可否については言及していません。
自由診療であれば薄毛、ハゲ治療AGA目的で、アボルブを使用してもよいと自由診療での使用を認めるものでもありませんが、使用を認めないわけではありません。
薄毛治療AGA目的の場合の医薬品副作用被害救済制度適用の有無
①医薬品副作用被害救済制度の対象となる健康被害は,承認許可された医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用による疾病(入院治療を要するもの),障害(日常生活が著しく制限される状態のもの)および死亡です。
②保険診療で処方されたものかは、この副作用被害救済給付の受給要件とはされていませんので,自由診療の場合であっても給付の対象になります。
③しかし,「適正に使用」された場合でなければ,給付の対象にはなりません。
この「適正に使用」は,医薬品の容器や添付文書に記載されている効能・効果,用法・用量,使用上の注意に従って使用されることが基本になりますが、個別の事情については,現在の医学水準に照らして総合的な見地から判断されます。
そのため、アボルブを薄毛、ハゲ治療AGA目的に使用することは,添付文書上の効能・効果以外の目的で使用したことになりますので、原則として給付の対象になりません。ただし,場合によっては個別に判断されます。