短い抜け毛が多くなる理由?
正常の毛の組織における毛周期については、以前にお話ししました。このうち、成長期の長さが数か月から約1年に短縮してしまうことが、薄毛(男性型脱毛症)のメカニズムの本態と言えます。
もう少し詳しく説明すると、本来なら2~6年続くはずの成長期に、毛の組織は大きく育ちます。このとき作られる毛幹は毛の組織の大きさに比例して大きくなります。
ところが薄毛になってしまうと、この成長期がとても短くなってしまいます。そのため、十分に太い毛幹を形成できなくなり、細くて軟らかい毛のまま成長期を終了してしまい、退行期に移っていきます。
さらに退行期を終了し、休止期、次の成長期へと移行します。このステップの中で、短くて軟らかい毛が抜けてしまうのです。これの状態がよく言われる「短い抜け毛が多くなった」といいます。
成長期が短くなって、毛周期を繰り返すうちに、毛の組織が小さいままに毛周期を回ることを、毛包のミニチュア化といい、十分に太い毛幹を形成できなくなります。
本来なら、太くてある程度の硬さを持った硬毛ができてから抜けていくはずですが、細くて軟らかい軟毛のまま抜けてしまうのです。
実際には、硬毛が直接、軟毛に変身するわけではなく、毛髪全体で硬毛が軟毛にかわったように見えるわけです。これを軟毛化といいます。軟毛化が前額部や頭頂部に特徴的に起こるのが薄毛(男性型脱毛症)なのです。
毛周期は止まる!?
よく毛が育たない、というイメージから毛周期が止まってしまうと考える人もいます。実際には、毛周期が止まってしまったわけではなく、むしろその逆です。短い毛周期を高回転でまわっているのです。
通常なら、毛周期は平均して4年間続くはずですが、数か月から1年という短い期間で毛周期が回ってしまうわけです。
究極的には、男性型脱毛症が進展した状態で、よくつるつるというあまり嬉しくない表現のような状態になると、毛の組織の周りが線維の塊のようになってしまい、しなやかに毛の組織がうごけなくなってしまいます。このような状態になると、休止期に入った毛の組織が再び大きく変化できなくなります。
このようになると、毛周期が結果的に止まった状態となります。一般的な毛周期が止まるという表現も、男性型脱毛症がかなり進んだ状態になると、あながち間違った表現ではなくなります。
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